Amphipoda 端脚目>Senticaudata亜目>Caprellidae ワレカラ科
非常に細長いワレカラで、雄の大型個体は体長15㎜に達する。タイプ産地は陸奥湾の浅虫で、北海道~九州の各地沿岸に分布する。国外ではポシェット湾(Posjet Bay)や韓国沿岸で報告がある。砂地のアマモ・スガモ群落や岩礁域のガラモ群落に生息し、主に植物プランクトンやデトリタスを食べる。
第1触角は体長の1/2未満。体節に明瞭な突起はない。最長節は第3胸節。鰓は細長く、根元で湾曲し長軸が体節と並行になる。第5-7胸脚に把握棘をもち、把握棘には方形状の独特な鋸歯を具える(図2b)。雄は大型個体でも第2咬脚基節が伸長しない。
第2咬脚は小型個体や雌では第2胸節の前方に位置するが(図1b)、大型個体ではほぼ中央に位置している(図1a)。小型個体では前節基部に、大型個体では近位~中央に把握棘を具える。把握棘は1対あり、遠位側に3本の副把握棘が続く。
第5-7胸脚は後方のものほど長い。前節基部に1対の把握棘をもち、把握棘の長軸方向には方形の鋸歯を具える。
雄の腹部付属肢は2節からなり、末節は楕円形で辺縁が毛に縁取られる。
ーーーーーー種内変異ーーーーーー
竹内(1995)によると、ツガルワレカラの頭部先端は丸いが、ガラモ場では頭部に突起をもつ個体が採集され、これらは別種の可能性があるという。
ただし、少なくともこのページで紹介した個体は(図1aはガラモ場、図1bはアマモ場で採集された個体)どちらも頭部に小さい突起をもち、違いは見られなかった。
ーーーーーー類似種との識別ーーーーーー
ホソワレカラ(C. danilevskii)やオカダワレカラ(C. okadai)などは本種に似るが、第5-7胸脚に把握棘がない(オカダワレカラは第5胸脚に把握棘をもつこともある)点で区別できる。
カギノテワレカラ(C. subinermis)は本種と酷似し、特に若齢個体では識別が困難になる。雄同士の比較では、第2咬脚の把握棘の位置がカギノテワレカラでより遠位側に寄ることが有効な識別点であるらしい(青木、1994)。その他の識別点として、十分に成熟した雄では、カギノテワレカラで第2胸節が最長節となることや、第2咬脚が第2胸節後端に位置すること、第2咬脚前節がツガルワレカラより伸長することなどから区別できる。