体は背腹に扁平で、他のヨコエビ類と全く異なった体型をしている。普段は腹節・尾節を胸節の下に折り畳んだ姿勢で、海藻などに張り付いている。第1,2咬脚は単純型で、雌雄の形態の差は少ない。日本からは3属が報告されている。
ーーーーーーミノガサヨコエビ科 本邦産3属の見分け方ーーーーーー
参考：有山（2022）、Barnard & Karaman (1991) 、平山（1995）、Ishimaru (1994)
（１）ミノガサヨコエビ属（Iphiplateia Stebbing, 1899）：体は著しく扁平。顎脚鬚は4節。第7胸脚基節が卵型。第3腹肢内肢は痕跡的。
日本にはミノガサヨコエビ（I. whiteleggei）1種が分布する。
（２）カメノコヨコエビ属（Pereionotus Spence Bate & Westwood, 1861）：背甲は盛り上がる。顎脚鬚は3節。第7胸脚基節は四角形。第3腹肢内肢は外肢とほぼ同じ長さ。
日本には2種の記録があるほか、未記載種も知られている（有山, 2022）。カメノコヨコエビ属についてはこのページにまとめてある。
※ゴクゾウヨコエビ属（Palinnotus Stebbing, 1900）はカメノコヨコエビ属に含められた（Rabindranath, 1972など）。
（３）Pariphinotus Kunkel, 1910：顎脚鬚は4節。第7胸脚基節は四角形。第3腹肢内肢は外肢の半分ほどの長さ。
※日本からは Pariphinotus lepas (Hirayama, 1987) [記載時の学名は Heterophilias lepas] のみが記録されているが、本種はミノガサヨコエビ（I. whiteleggei）に酷似しており、属の再確認が必要である（有山, 2022）。
＜参考＞
・有山啓之（2022）ヨコエビガイドブック. 海文堂出版株式会社. 158pp.
・Barnard JL & Karaman GS (1991) The Families and Genera of Marine Gammaridean Amphipoa (Except Marine Gammaroids). Records of Australian Museum , 13 (1,2), 866pp.
・平山明（1995）端脚目. In; 西村三郎. 原色検索日本海岸動物図鑑[II]. 保育社, pp.172-192.
・Ishimaru S (1994) A Catalogue of Gammaridean and Ingolfiellidean Amphipoda Recorded from the Vicinity of Japan. Rep. Sado Mar. Biol. Stat, Niigata Univ, 24, pp. 29-86.
・川崎祐介（2019）生鮮な人肉をヒメスナホリムシに与える―観音崎産等脚目・端脚目甲殻類4種の飼育事例―. 日本甲殻類学会, 28, pp. e153-e161.
・Rabindranath P (1972) A redescription of Pereionotus testudo (Montagu) (Crustacea: Amphipoda) with observations on the genera Pereionotus Bate & Westwood and Palinnotus Stebbing. Vie et Milieu, 23 , pp. 33–44.
・Senna AR, Guedes UN, Andrade LF & Pereira-Filho (2021) A New Species of Amphipod Pariphinotus Kunkel, 1910 (Amphipoda: Phliantidae) from the Southwestern Atlantic. Zoological Studies, 60 (57), 12pp.