2022年10月7日金曜日

マルカドスンナリヨコエビ Orientomaera rotundicoxa Ariyama, 2018

Amphipoda 端脚目>Senticaudata亜目>Maeridae スンナリヨコエビ科 

図1:マルカドスンナリヨコエビ 雄6.3㎜ 抱卵雌5.6㎜
2022年6月千葉 潮間帯下部~潮下帯の転石下や海藻の根元から採集した
vertical*6(@vertical06)さんに標本提供して頂きました


 橙~紅色をした透明感のあるスンナリヨコエビ。体色の濃さは個体差がある。

 和名は、同定形質でもある、第1咬脚底節板の角が丸くなることに由来している。神奈川県と和歌山県から報告がある。水深1-10mの海藻中に出現し、しばしば同属のトウヨウスンナリヨコエビ(O. brevispina)と同所的にみられる(Ariyama, 2018)。

 似た体色のスンナリヨコエビは他にも複数種が知られている。中でもホソベニスンナリヨコエビ(O. obliquuaは第2咬脚の形が似ており、同定のさい注意が必要である。


図2:第1,2咬脚、底節板 male, 6.3㎜(図1の個体)

 第1咬脚底節板の前腹側の角は丸い(G1, 黒矢印)。第2咬脚前節(第6節)の Angle of palmar corner が大きく、掌縁が斜めになる(G2)。底節板遠位部の棘は短くない(T, 白矢印)。


※底節板遠位部の棘の長さは、本属の種を同定するときに用いる特徴のひとつである。マルカドスンナリヨコエビのホロタイプ(male, 6.6㎜)では、底節板遠位部の棘の長さは底節板の長さの45%だが、図1の個体では35%ほどだった。底節板の棘は短いものの、他の付属肢の形態は概ね一致したため、マルカドスンナリヨコエビと同定した。


<参考>
・Ariyama H (2018) Species of the Maera-clade collected from Japan. Part 1: genera Maeropsis Chevreux, 1919 and Orientomaera gen. nov. (Crustacea: Amphipoda: Maeridae). Zootaxa, 4433 (2), pp. 201-244.