2021年12月16日木曜日

ムクダヨコエビ Gammarus mukudai Tomikawa, Soh, Kobayashi & Yamaguchi, 2014

   Amphipoda 端脚目>Senticaudata亜目>Gammaridae ヨコエビ科 

図1a:ムクダヨコエビ♂
2021年8月対馬 スケールは1㎜×10

 従来ニッポンヨコエビ(G. nipponensis)とされてきた個体群のうち、壱岐及び対馬に分布するものはムクダヨコエビ(G. mukudai)として2014年に新種記載された。G. nipponensis は種内での遺伝的な変異が大きく、他にも同胞種を含んでいる可能性が示唆されている。
 対馬では河川上流の流れが緩やかな場所や、雨後林道わきにできたしみだしなどに数多く見られた。杉林の近くでは流れてきた木屑のようなものを顎脚や第2触角を使って集め、口に運ぶ姿を観察できた(図1c)。

図1b:交尾前ガードをするペア

 体色は白や黄色、黒っぽいものまで非常に変異に富むようだ。

図1c:木屑のようなものを食べている?

 以下はプロピレングリコール(PG)によって固定した雄標本の写真。

図2a:全形 スケールは1㎜×3

図2b:第1・2触角柄部

 第1触角柄部第2節の長さは幅の3.8倍以上であり(ニッポンヨコエビでは3倍)、第2触角柄部第4・5節後縁にはそれぞれ3つの短刺毛束をもつ(ニッポンヨコエビでは第4・5節にそれぞれ6・7つの長刺毛束をもつ)。
 ※図2c~eは解剖の不手際で、毛が抜け落ちたり、輪郭が壊れてしまい不完全になってしまったものを撮影している。

図2c:すべて右付属肢の内側面 スケールは1㎜
A:第1咬脚 B:第2咬脚 C:第3胸脚 D:第4胸脚

図2d:スケールは0.2㎜×5
E:第1腹肢 F:第1尾肢 G:第2尾肢 H:第3尾肢 I:尾節板

図2e:スケールは0.2㎜×5
J:上唇 K:下唇 L:第1小顎 M:第2小顎 N:大顎 O:顎脚

<参考>
・Ko Tomikawa, Ho Young Soh, Norio Kobayashi, Kobayashi & Aika Yamaguchi (2014) Taxonomic relationship between two Gammarus species, G. nipponensis and G. sobaegensis (Amphipoda: Gammaridae), with description of a new species. Zootaxa, 3873 (5), pp. 451-476.