Amphipoda 端脚目>Senticaudata亜目>Ischyroceridae カマキリヨコエビ科
図1:上が♂で下が♀ スケールは1㎜×3
2021年12月神奈川 岩礁帯潮間帯のサンゴ藻から採集
最大9㎜に達するホソヨコエビ属の1種。国内では東京湾から九州の浅場にみられ、転石下や海藻の間に集団で営巣している。国外では韓国や東南アジア~オセアニアの各国、インド、マダガスカル、南アフリカなどから記録があるが、これらの中には E. didymus Krapp-Schickel, 2013 などの類似種が本種として誤同定されたものが含まれている可能性がある。
生時の眼は赤い。触角は全体的に赤いが、第2触角柄部第5節は白く、中央に濃い赤の縞をもつ。頭部は茶色で、体節や底節板には茶色と白色の縞模様がある。
図2a:腹部背面
70%エタノールで固定後に撮影
図2b:♂左第2咬脚・第5胸脚 外側面
スケールは1㎜(0.1㎜×10)
雄の第2咬脚底節板腹側縁にstridulating ridgeが多数ある(赤囲いの中)点や、第5胸脚基節が下方に伸長する(黄色線)点で E. convexus (ソコホソヨコエビ) や E. didymus に似ている。
図2c:♂左第1咬脚外側面、尾節板および第1~3尾肢
スケールは1㎜(0.1㎜×10)
雄の第1咬脚基節前縁に少数の短い刺毛があること(赤丸)や、尾節板後縁にあるふたつの小棘群の間は直線かわずかに凹むこと(水色線)、第1尾肢側面に3-8本の剛毛があること(黄色丸)などから類似種と識別可能。
<参考>
・Hiroyuki Ariyama (2009) Species of the Genus Ericthonius (Crustacea: Amphipoda: Ischyroceridae) from Western Japan with Description of a New Species, Bulletin of the National Museum of Nature and Science, Series A, Supplment 3, pp. 15-36.
・Benoit Gouilleux, Hiroyuki Ariyama, Ana Cristina Costa, Guillemine Daffe, Agnese Marchini, Joana Micael and Aylin Ulman (2020) New records of Ericthonius didymus Krapp-Schickel, 2013 (Crustacea: Amphipoda: Ischyroceridae) in European waters with a focus in Arcachon Bay, France and key to Ericthonius species, Journal of the Marine Biological Association of the United Kingdom, 100 (3) , pp. 401-412.
・有山啓之(2013)端脚目. In; 今原幸光. フィールド版 写真でわかる 磯の生き物図鑑. トンボ出版, pp.110-112.